お役立ちコラム

column

弱電とは何?強電との違いや設備の違いについて解説

2022年08月30日

普段何気なく使っている電気ですが、大きく2つに分けられます。
1つはエネルギーとして使用する電気で、もう1つは信号として使う電気です。
この2つの違いについて詳しく解説します。

弱電とは何?強電との違いや設備の違いについて解説

電気の種類

スマートフォンやタブレットなどのIT機器を利用するときに、さまざまなケーブルを利用することがあるでしょう。
ケーブルには充電に使えるケーブルとデータ送受信専用のケーブルがあるのはご存知でしょうか。

 

この違いは電気の種類の違いと関係してきます。
充電に使えるケーブルは、電気を「エネルギー」として使用するために使うものです。
一方データ送受信専用のケーブルは電気を「信号」として使用するために使うものです。
同じような外見のケーブルでも、データ送受信専用のケーブルでは充電できません。

 

エネルギーとして使用する電気は「強電」と呼ばれます。
一方信号として使用する電気は「弱電」と呼ばれます。
強電と弱電では電圧が大きく異なるのです。

弱電

電気を信号として使用する場合、電圧は48V以下という弱い電圧で使用します。
インターネットの接続や電話、テレビのアンテナの接続などは電気を信号として伝えるため弱電となります。

弱電の設備

具体的に弱電に当たる設備をまとめます。

・電話設備
・表示設備
・インターホン
・火災通報設備
・情報配線設備
・ガス漏れ警報設備など

 

が該当します。
どれもデータを伝えるための設備という点で共通しています。

弱電の工事に対応する資格

電気を扱う工事となるため、弱電の工事は電気工事士が担うものと思いがちです。
ですが弱電は電気工事士資格では取り扱えません。
弱電の工事では通信系の資格が必要です。

弱電の注意点

弱電で扱う電圧は48V以下と小さいため、ノイズの影響を受けやすい点に注意が必要です。
配線時は強電の配線から離して敷設する必要がでてきます。

 

少しのノイズでも大きな影響を与えることがあります。
弱電の配線を敷設するときにはノイズの影響を受けにくいよう気を付けなければなりません。

強電

弱電に対して強電は電気をエネルギーとして使用する場合の総称です。
強電は大きく3つに分かれます。

低圧

家庭用のコンセントをはじめ一般的に使われる身近な電気が低圧です。
交流の場合は600V以下、直流の場合は750V以下の電圧となります。

 

低圧は交流で600V以下の電圧となるため、一般用電気工作物又は自家用電気工作物の工事は第二種電気工事士資格があれば単独で工事可能です。
もちろん第一種電気工事士の資格を持つ人も単独で工事可能です。

高圧

低圧に続いて身近な存在の電気が高圧です。
交流で600~7,000V、直流で750~7,000Vの電圧です。
高圧は、各建物に電気を送電するための配電線に使用されています。

 

電柱から電柱に通されている「電線」には600V~7,000Vという電圧の電気が流れているのです。
電圧が600V以上となるため、第二種電気工事士の資格では工事ができません。

 

最大電力500KW未満の一般用電気工作物又は自家用電気工作物であれば一部の工事を除き第一種電気工事士の資格を持つ人は単独で工事可能です。
なお最大電力500kW以上の一般用電気工作物又は自家用電気工作物は電気主任技術者の監督の基であれば、無資格者でも工事可能です。

 

一般的な家庭では低圧の電気を契約することが多くなりますが、時折高圧で電気契約している場合があります。
もし供給電圧が6kV以上となっている場合には、契約は高圧電気です。
このキュービクル式高圧受電設備が備わっています。

特別高圧

強電でも7,000V以上の電圧になると特別高圧といわれる種類になります。
特別高圧は「特高」とも呼ばれます。
具体的な例では、発電所と変電所をつなぐ高圧線に流れている電気が特別高圧です。
その他規模の大きな工場や施設でも特別高圧の電気が使われています。

 

大量に電流が流れ込むため、変電所から直接送電線を引き込み工場や施設内の変電施設につなぎます。
送電線を支える鉄塔や変電設備など大規模な設備が必要となります。

資格の違い

弱電の工事と強電の工事では保持しなければならない資格に違いがあります。
一般的に電気工事といえば電気工事士資格やエネルギー管理士、電気工事施工管理技士、電気主任技術者などがあります。
これらは「強電」に対応した資格となります。

 

弱電は「通信系の資格」が必要です。

 

・電気通信主任技術者
・天気通信の工事担当者
・総合無線通信士
・陸上無線技士 など

 

が該当します。
一般的な家庭の電気工事でも、テレビのアンテナ線の敷設やネット回線の敷設などを実施するときには、通信系の資格を保持することが求められます。

まとめ

電気工事士の資格があっても、テレビのアンテナ線の敷設やインターネット回線の敷設といった弱電の工事は担えません。
弱電の工事に携わるためには通信系の資格も取得する必要があるのです。
弱電と強電の違いをよく理解し、工事に必要な資格をしっかり取得するようにしましょう。